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スラムではじめたNozomi HT Gakkoの活動記録


by handstogether

悲しい話と嬉しい話と。

随分と長い間更新しておらず、申し訳なく思います。
現地でさまざまな活動が展開されているのに、それをきちんと記録し、発信しなければなりません。継続は力。この小さなブログも、後々振り返ったときに、大きな財産になっているはずと思います。

今回は、私(Ken)が日本からデリーに飛んで、Hands Togetherの活動の状況を確認してきた内容を簡単に報告します。

まずは、現在の活動内容のおさらいから。

【Hands Togetherの補習校運営の概要】
インド・デリーにおいて、公立学校に通うスラム(貧困居住区)居住家庭の子どもたち(小学校~高校レベル)に対し補修サービスを提供することで、子どもたちの学力向上を図り、勉学の遅れに伴うドロップアウト防止、義務教育後の進学・就業等の自立の機会拡大を支援するもの。

(1)Nozomi HT Gakko
住所:Bhanwar Singh Camp, behind D-Block, Vasant Vihar, New Delhi
活動内容:補習校運営(週6日 17:30~19:30)
運営費用:年間30万円(HTメンバー拠出、日One Step Fund拠出、個人寄付)

(2)HT Educational Programme
住所:Sanjay Gandhi Camp, Chanakyapuri, New Delhi(大使館街のシンガポール大使館と鉄道博物館の間に所在するスラム)
活動内容:補習校運営(週6日 17:30~19:30)、パソコン研修運営(週6日 10:00~18:00)
(同スラム内に2ヶ所の補習校を運営していたが、一部居住区の政府による強制収用に伴い、スラム住民が補習校運営場所に移転し、現在1校運営停止。)
運営費用:年間100万円(ニュージーランド大使館ほか拠出)

【現在の状況】

・悲しい話:
2010年10月のCommon Wealth Gamesに向けデリー首都圏は急ピッチでインフラ整備が進んでおり、デリー各地で事前通知なしにスラム・不法居住地の強制収用が行われている模様。
HT Educational Programmeを展開するチャナキャプリのスラムにおいても、変電所建設用地として140世帯分の家屋が事前通告なしにこの4月に壊され(140世帯全ての家屋が潰され訪問時には倒壊家屋が一部除去され整地も始まっている状況)、同じスラム内の空きスペースに強制移転させられました。

この光景を前に、「この事態に為す術がなく苦しくて目を背けるしかない。。。」と肩を落とすサンヤムジー(Hands Together代表)。

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写真は、強制移転させられた跡地の前に立ち尽くすマイトレイジー(Hands Togetherのプログラムコーディネーター)。

この140世帯の強制移転先は、元々はスラム内のゴミ廃棄場所。

そのゴミ廃棄場所を、HANDS TOGETHER(HT)が整地を行い、煉瓦ブロックでプラットフォームをつくり、野外の補習校を開校していたのですが、今は140世帯が廃材を使って緊急的な掘っ立て小屋をつくって移り住んでいます。

これからのモンスーンの雨の前にしっかりした屋根や扉をつくれることを祈るばかりです。サンヤムジーとプログラムコーディネーターのマイトレイジーが現地の緊急ニーズに対応できるようフォローしてくれています。

・嬉しい話:
Nozomi HT Gakkoは、引き続き教師は3名で運営。
教室内に入りきらず、教室内と野外教室とに分かれて授業をしています。
教師陣を率いるのは、開校当初から変わらずの大黒柱Chakravortyさん(西ベンガル州出身、DADAと尊称で呼ばれている)。そして、ほか二人の教師は、Bharat Dasさん(20歳、当スラム出身男性)、Rajniさん(22歳、当スラム・Nozomi Gakko出身女性)。

Rajniさんは2007年Nozomi Gakko開校時には生徒として補習を受けていた生徒。今は義務教育を終え、通信教育でBSM(Bacheler of Social Work)を学ぶ傍ら、Nozomi Gakkoの教師を勤めています。Nozomi Gakkoの教え子が、いまや教師になっており、生徒の夢を聞くと「教師」という子たちもいました。Rajniさんは生徒たちのロールモデルになっているようです。

Nozomi Gakkoでは、生徒の学校の通信簿のデータを集計中で、このデータで学力向上度を確認予定。私が訪問したときに見た通信簿では、3年生の女の子二人が公立学校のクラスでトップクラスに入っていました。

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写真はNozomi Gakkoの野外授業の様子。

同じスラム出身のもう一人の教師、Bharat Dasさんは、通信教育で商学学士(BCOM;Bacheler of Commerce)を勉強する傍ら、Nozomi Gakkoの教師を勤めています。将来は、会計士(CA)になることが目標。インドで会計士になるためには、時間も資金も要するが、彼はこの大きな夢に向かって邁進しています。そして、教師として、生徒たちに将来の職業のアドバイスもしていて、生徒の一人は「将来の職業は法律家」と夢を語ってくれました。

地道な活動ですが、着実に、子どもたちの中にアセットとして蓄積され、子どもたち自らのパワーとしてその成果があらわれはじめている、そう感じます。

(by Ken)
by handstogether | 2010-07-12 01:12 | Member's voice