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スラムではじめたNozomi HT Gakkoの活動記録


by handstogether
インド首都デリーは暑い夏の時期に入ってきました。今日の最高気温は33℃。

灼熱の夏日が続く5月には公立学校は夏休みに入ります。

現在はその直前、期末テストが終わる時期です。

わたしたちHands Togetherの運営する補習校は、献身的な教師陣に支えられ、元気に運営をしています。

サンヤム代表からの運営報告を以下のとおりお伝えします。

(1)Nozomi HT Gakko
【所在・概要】
住所:Bhanwar Singh Camp, behind D-Block, Vasant Vihar, New Delhi
活動内容:補習校運営(週6日 17:30~19:30)
運営費用:年間30万円(HTメンバー拠出、日One Step Fund拠出、個人寄付)

【本年度活動概況】
●生徒数:
現在162名の生徒が登録。
このうち、実際の出席者119名(週1・2回不定期に出席する生徒含む)は以下の内訳です。

【就学前】
KG 50名
【初等】
Class1 12名
Class2&3  10名
Class4&5  12名
【上級初等】
Class6&7  10名
Class8   7名
【中等】
Class9   6名
Class10 7名
--------------------------------進学統一試験
【上級中等】
Class11&12 4~5名
--------------------------------進学統一試験

●生徒の学力状況:
・Nozomi Gakkoで学んでいる生徒のうち70%が1学年上に昇級したものの、30%は留年となりました。
留年生の多くは、夕刻の水汲み作業や、共働き家庭での家事手伝いが理由で、Nozomi Gakkoになかなか通えず、週1~2回不定期に来れるか、来れないか。。両親の理解と子どもの意欲がとても大切であると痛感しています。

・統一試験に備えるClass10以上の生徒には、教務主任のDada先生と、若いBharat先生(同スラム出身)が専属で教えています。教室も限られており、初等の生徒なども一緒にいると勉強がはかどらないため、Bharat先生は補習校の終わる19:30以降も引き続き生徒に付きっきりで、補習サポートをしています。
統一試験の結果は、今年6月には発表される見込みです。

●全体運営:
・全体運営は大きな問題に直面しています。昨秋以降、補習校運営の現場を管理するプログラム・コーディネーターが空席になっているのです。教師の授業状況や生徒の学習状況のフォロー、両親との対話、補習に必要な教材等の購入といった、現場のきめ細やかな対応ができなくなっています。
結果として、Nozomi Gakkoに安定してこれない生徒が増える、留年生が増える、といった事態が生じていると考えています。

・Hands Togetherでは現在後任のプログラム・コーディネーターのリクルートを進めています。インドではインフレが進み、雇用給与水準も上昇しており、大卒の有能な人材を確保するのはとても大変ですが、5月までには新任コーディネーターを雇用したいと考えています。

●その他:
・デリーの冬は冷え込みますが、今冬は、オーストラリア大使館からの寄贈により、Nozomi Gakkoの生徒向けに、冬季防寒用の帽子・セーターなどを配布しました。

(2)HT Educational Programme
【所在・概要】
住所:Sanjay Gandhi Camp, Chanakyapuri, New Delhi(大使館街のシンガポール大使館と鉄道博物館の間に所在するスラム)
活動内容:補習校運営(週6日 17:30~19:30)、パソコン研修運営(週6日 10:00~18:00)
(同スラム内に2ヶ所の補習校を運営していたが、一部居住区の政府による強制収用に伴い、スラム住民が補習校運営場所に移転し、現在1校運営停止。)
運営費用:年間100万円(ニュージーランド大使館ほか拠出)

【活動概況】
●全体運営:
・補習校1校およびパソコン研修運営を順調に行っています。
しかしながら、補習校の教務主任であったAnitaさんが交通事故に遭い、職場復帰は困難な状況になり、残された先生により運営しています。

・これまで継続的な支援をいただいていたニュージーランド大使館、ベルギー大使館、スペイン大使館は、強力な支援者であった大使がそれぞれ離任され、新年度の資金調達が課題になっています。

・なお、プログラム・コーディネーターは、Nozomi GakkoとこのHT Educational Programme両方を管理するべく、リクルートを行っています。

(文責:Ken)
# by handstogether | 2011-04-02 14:05

悲しい話と嬉しい話と。

随分と長い間更新しておらず、申し訳なく思います。
現地でさまざまな活動が展開されているのに、それをきちんと記録し、発信しなければなりません。継続は力。この小さなブログも、後々振り返ったときに、大きな財産になっているはずと思います。

今回は、私(Ken)が日本からデリーに飛んで、Hands Togetherの活動の状況を確認してきた内容を簡単に報告します。

まずは、現在の活動内容のおさらいから。

【Hands Togetherの補習校運営の概要】
インド・デリーにおいて、公立学校に通うスラム(貧困居住区)居住家庭の子どもたち(小学校~高校レベル)に対し補修サービスを提供することで、子どもたちの学力向上を図り、勉学の遅れに伴うドロップアウト防止、義務教育後の進学・就業等の自立の機会拡大を支援するもの。

(1)Nozomi HT Gakko
住所:Bhanwar Singh Camp, behind D-Block, Vasant Vihar, New Delhi
活動内容:補習校運営(週6日 17:30~19:30)
運営費用:年間30万円(HTメンバー拠出、日One Step Fund拠出、個人寄付)

(2)HT Educational Programme
住所:Sanjay Gandhi Camp, Chanakyapuri, New Delhi(大使館街のシンガポール大使館と鉄道博物館の間に所在するスラム)
活動内容:補習校運営(週6日 17:30~19:30)、パソコン研修運営(週6日 10:00~18:00)
(同スラム内に2ヶ所の補習校を運営していたが、一部居住区の政府による強制収用に伴い、スラム住民が補習校運営場所に移転し、現在1校運営停止。)
運営費用:年間100万円(ニュージーランド大使館ほか拠出)

【現在の状況】

・悲しい話:
2010年10月のCommon Wealth Gamesに向けデリー首都圏は急ピッチでインフラ整備が進んでおり、デリー各地で事前通知なしにスラム・不法居住地の強制収用が行われている模様。
HT Educational Programmeを展開するチャナキャプリのスラムにおいても、変電所建設用地として140世帯分の家屋が事前通告なしにこの4月に壊され(140世帯全ての家屋が潰され訪問時には倒壊家屋が一部除去され整地も始まっている状況)、同じスラム内の空きスペースに強制移転させられました。

この光景を前に、「この事態に為す術がなく苦しくて目を背けるしかない。。。」と肩を落とすサンヤムジー(Hands Together代表)。

悲しい話と嬉しい話と。_b0119809_16555.jpg


写真は、強制移転させられた跡地の前に立ち尽くすマイトレイジー(Hands Togetherのプログラムコーディネーター)。

この140世帯の強制移転先は、元々はスラム内のゴミ廃棄場所。

そのゴミ廃棄場所を、HANDS TOGETHER(HT)が整地を行い、煉瓦ブロックでプラットフォームをつくり、野外の補習校を開校していたのですが、今は140世帯が廃材を使って緊急的な掘っ立て小屋をつくって移り住んでいます。

これからのモンスーンの雨の前にしっかりした屋根や扉をつくれることを祈るばかりです。サンヤムジーとプログラムコーディネーターのマイトレイジーが現地の緊急ニーズに対応できるようフォローしてくれています。

・嬉しい話:
Nozomi HT Gakkoは、引き続き教師は3名で運営。
教室内に入りきらず、教室内と野外教室とに分かれて授業をしています。
教師陣を率いるのは、開校当初から変わらずの大黒柱Chakravortyさん(西ベンガル州出身、DADAと尊称で呼ばれている)。そして、ほか二人の教師は、Bharat Dasさん(20歳、当スラム出身男性)、Rajniさん(22歳、当スラム・Nozomi Gakko出身女性)。

Rajniさんは2007年Nozomi Gakko開校時には生徒として補習を受けていた生徒。今は義務教育を終え、通信教育でBSM(Bacheler of Social Work)を学ぶ傍ら、Nozomi Gakkoの教師を勤めています。Nozomi Gakkoの教え子が、いまや教師になっており、生徒の夢を聞くと「教師」という子たちもいました。Rajniさんは生徒たちのロールモデルになっているようです。

Nozomi Gakkoでは、生徒の学校の通信簿のデータを集計中で、このデータで学力向上度を確認予定。私が訪問したときに見た通信簿では、3年生の女の子二人が公立学校のクラスでトップクラスに入っていました。

悲しい話と嬉しい話と。_b0119809_2122829.jpg

写真はNozomi Gakkoの野外授業の様子。

同じスラム出身のもう一人の教師、Bharat Dasさんは、通信教育で商学学士(BCOM;Bacheler of Commerce)を勉強する傍ら、Nozomi Gakkoの教師を勤めています。将来は、会計士(CA)になることが目標。インドで会計士になるためには、時間も資金も要するが、彼はこの大きな夢に向かって邁進しています。そして、教師として、生徒たちに将来の職業のアドバイスもしていて、生徒の一人は「将来の職業は法律家」と夢を語ってくれました。

地道な活動ですが、着実に、子どもたちの中にアセットとして蓄積され、子どもたち自らのパワーとしてその成果があらわれはじめている、そう感じます。

(by Ken)
# by handstogether | 2010-07-12 01:12 | Member's voice

感謝

先日は、日本人学校におけるボランティアプログラムにご協力いただき、ありがとうございました。

このデリーに暮らしている日本人の子どもたちにとって、貧富の差というのは無視できない現実ですが、普段はそれを見ないようにして過ごしていることがほとんどです。

5月8日(木)の「ボランティア講演会」では、子どもたちがSanyam ji の言葉にじっと耳を傾け、貧しい人々を取り巻く厳しい環境にショックを受けながらも、それぞれ問題意識を持ってくれたようでした。やがて「貧しい人々を助けたい。」「自分たちにできることは何だろう?」という声が子どもたちから上がり、古着や文房具、おもちゃなどの寄付品が徐々に集まり始めました。

8月1日(金)、「ボランティア集会」でそれまでの寄付品の集計結果が発表され、HT事務局に手渡される運びとなりました。文房具528点、衣料品・衣料雑貨338点、本67点、おもちゃ225点。この結果に子どもたち自身も驚いていました。お忙しい中、集会においでくださったSanyam ji、Katai さん、Arakawa さん、Kobayashi さん、のぞみHT学校教師代表として来校されたDada、そしてはるばるヴァラナシから駆けつけてくださったAbhinav ji、Anubhav jiに深く感謝いたします。

雨期が明けたら、これらの寄付品をスラムに持って行くということですが、その際にはぜひ追跡取材をして、スラムの子どもたちが喜んでくれている様子を本校の子どもたちにも映像で見せたいと思いますので、どうかご一緒させてくださいね。

Akane Ozawa
Japanese School, New Delhi
感謝_b0119809_430633.jpg

# by handstogether | 2008-08-26 04:28

新しい教材

のぞみがっこうはないないづくしの学校ですが、このたび
新しい教材が一つ増えました。

それは、かわいい絵入りのアルファベット表です。

みんな一緒に勉強できるこの表はとても画期的です。
先生は、ひとりひとりに同じことを繰り返し言わずに、
5人くらいを相手に教えることが出来ます。

もちろん、のぞみがっこうの「ウリ」はオーダーメイドのクラスですが、
ちびっ子たちはまだまだ体系だって一つの教科を
勉強した機会がありません。あっちでかじって
こっちでかじったことを一つずつ覚えている様子。
みんながみんなそんな感じだし、先生も1人(ちびっこ向け)
なので、こどもの数が増えるにつれて、
クラスの混沌度合いは拍車がかかってきていました。
ですから、はじめの1歩として、この表を使ってみんなで勉強して、
その後それぞれ、分からないところが違ってきたら先生に
ひとりひとり聞くこの方法で、こどもたちにとっても先生にとっても
少し、効率的な勉強が可能になりそうです。

英語は将来の幅を広げてくれます。インドは「英語の国」と
まことしやかに言われますが、スラムの子たち、
カーストの低い人たちは残念ながら英語はほとんど出来ません。
そこで、必然的に職業の幅も狭まってしまうのです。

今日のクラスは、2007年最後のクラス。テストももうずっと前に終わっています。
でもこのちびっこクラスは不思議と数が減っていません。
みんな、頑張って、楽しんで勉強するんだよー。

新しい教材_b0119809_2156146.jpg
すてきな教材を寄付してくれたおざわさんに感謝!
(samdra)
# by handstogether | 2007-12-23 22:02
"shameful numbers"と、ここ数日いくつかのインドの新聞を
にぎわせた記事があります。
実は、小さいながら日本の新聞にもいくつか同様の記事が出ていました。

いったいインドが何を恥じているのか、というとユネスコが先日発表した世界の
就学率や識字率の状況をまとめた報告書で初等教育を
受けられない子供が世界には7200万人いて、
そのうち3カ国が約30パーセントを占め、
インドがその1カ国に入ってしまったというのです。

7200万人の学校に行けないこどもたち。
実際は、学校に行けてもドロップアウトしてしまう
子たちはこの数字に入っていないわけですから、
もっともっと多くのこどもが学校に行けないのは確実です。

途方もない数字だって、それは1つ1つの積み重ね。
ひとりひとりを救っていくことがこの大きな問題への
私たちの取り組み方です。

のぞみがっこうでは、一つの教室、
3人の先生、子供の数は85人にまで増えています。

\"恥じるべき数字”-「学校に行けない」こどもたち_b0119809_1532525.jpg

ひとりひとりの未来を大切に
(samdra)
# by handstogether | 2007-12-14 01:56